公開講座「都市に架構を埋め込む」を開講しました
2025年5月30日(金)、木村松本建築設計事務所 主宰 建築家 木村 吉成 氏を講師にお招きし、公開講座「都市に架構を埋め込む」を開講しました。


都市に架構を埋め込む
木村さんの講演は、故郷和歌山での少年時代の話から始まった。
遊び場であった周囲の自然や砂場、絵、本、音楽、それらは違う世界にアクセスする回路であり、
いずれそれらの興味が建築に統合され、大阪芸術大学で建築を学ぶに至ったのだという。
時間に対する構えを真摯に思考する建築家である。
100年後も存続する建築を考える中で木村さんが掲げるキーワードは「架構」そして「不確かさ」である。
「架構」すなわち柱と梁などを組み合わせて構成される構造体は、
建築をかたちづくっているものの中で最も長いタイムスパンをもつ。
持ち主が変わり、用途が変わることも珍しくない、正解のない未来に向けて、
一建築を超え都市への拡張可能性をもつ架構を膨大なスタディから見極める。
この姿勢が今回の講演のタイトルによく表れている。
今に最適化された建築があるとすれば、それは脆い存在だ。
人間の生活や社会、あらゆるものが「不確かさ」の中で進行している。
この「不確かさ」を受け入れ、架構と素材、そしてディテールを吟味し使い続けるための工夫を考える。
木村松本の建築がもつ「存在感(強度)」は、彼らの思想を直裁的に表すものである。
講演の後、質疑応答では学生や一般の聴講者の方々と活発な応答が繰り広げられた。
木村吉成さん素晴らしいご講演有難うございました。
(北海道科学大学 工学部 建築学科 教授 岩澤浩一)


今回の講演は学生と一般聴講者あわせて、124名の方にご参加いただきました。

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